哲学することは、難しい?
哲学書、専門書を読むことを「登山」になぞらえて、「おすすめの登り方」を紹介しつつ、「みんなの登ってみた体験」を共有する「哲学登山」。
Learning Creator’s Labでも、「探究する学び」というものの考え方には哲学的な背景と系譜があるためそれを踏まえてプログラムづくりをしてきましたが、引き続きその「哲学」部分を、一人ひとり個別的に深めつつ、協同的に深めていくことをしていきたいと思います。
「わからないことを、愉しむ。」
“知らないこと、わからないことに出会うたび、自分で想像を繰り広げていた子どもの頃のように、好奇心を持って問い続けること。自分の人生を生きていこうと、世界を巡り自分の個性との付き合い方を探る青年のように、人やものとの関わりのなかで自身のありようを問い続けて行くこと。
そんなふうに「哲学する」ことは、あらゆる世代の、あらゆる人に開かれた人生の「愉しみ」であり、「必需品」でもあります。
しかしながら、問いを持ち続け、哲学し続けることは、とても困難であるように感じられています。たとえるなら、足場が悪くすぐにも滑り落ちてしまいそうな山道を、持っていきたい多くの荷物を背負い、ひとり歩んでいくような難しさが、そこにはいつもあるように。
そんなときに、何千年もかけて、時代は違えど同じように困難な山道を進んできた人々の記した本と出会うと、まるで山道をともに歩んでくれる馬のように、その荷物を半分持ってくれる相棒のように感じられるのではないかと思うのです。”
哲学書、専門書を噛み砕くのでもなく、わかりやすく伝えるのでもなく、わからないところはわからないと伝えられる場の中で、桐田シェルパが哲学的な思考の旅路をガイドしてくれます。
今まで何度か哲学書や専門書にチャレンジしたけど挫折した人、読むことはそんなに好きではないけれど、考えることが好きな人。学校現場などで何か考えるモノサシのようなものがあったらいいのになぁ、と思う人。
2019年11月に登った「自由の山」、2020年に登った「探究の山」、「自然の山」、「民主主義と正義の山」、2021年に登った「発達と学習の山」、2022年に登った「現象と人間の山」、「アートと想像性の山」、2023年に登った「オルタナティブの山」につづき、「自認とアイデンティティの山」を今回登ります。イントロダクトリーなオンラインコースです。ぜひ一緒に登山をしましょう!
◆ こんなかたにおすすめです。
・実践しているなかで自分の軸がすぐブレてしまう
・考えることが好きだけど、哲学書はハードルが高い
・本を読み始めるが途中で挫折してしまう
・自分の心からの考えをシェアする場を探している
◆ ゆっくりじっくり哲学するため、こんなかたにはあんまりおすすめできません…。
・一回でぜんぶスッキリ理解したい(モヤモヤが辛い)
・自分と違う考え方には意味がないと思いがち
・批判を通じて意見をすり合わせたり吟味したりすることを避けがち
シェルパより、「自認とアイデンティティ」登山
アイデンティティには、じつにさまざまなものがあります。たとえば、生態的なもの(エコロジカル)、民俗的なもの(エスニック)、社会・文化的なもの(ソーシャル・カルチュラル)、政治的なもの(ポリティック)、国家的なもの(ナショナル)、性的・ジェンダー的なもの(セクシャル・ジェンダー)、そして個性的・個人的なもの(パーソナル)。
かつて、世間ではアイデンティティがひとりの人間にひとつ、確固たるものとして据えられる礎石のようなものとして語られていましたが、現在ではそんな一枚岩ではない、まるで万華鏡のように乱反射するものとしてイメージされてきています。そんなアイデンティティという地続きの山脈がみせるさまざまな風景を楽しみつつ、アイデンティティについての思索を深めていけたら幸いです。
アイデンティティを生涯をかけて発達していくものと提起したエリクソンを皮切りに、自分について内面で語ることの危うさとその避けがたさについて葛藤したデリダ、社会に流通している言説を通じて自分について語らざるを得ない矛盾を指摘したフーコー、ジェンダーとセクシャリティを構築していく意味づけのプロセスを分析したバトラーのたどったルートを見据えながら、アイデンティティの裾野の広がりについて一緒に考えていきましょう。
メイン講義については反転講義形式として、事前に講義ビデオ(youtube 限定公開動画)を共有します。そちらをみていただいた上で、当日は対話を中心に進めます。
イントロダクション
※エリクソンのアイデンティティ形成についてシェルパより紹介
読む本と主に読む範囲:E.H. エリクソン『アイデンティティとライフサイクル』pp.123-131
ルート1:デリダの「アイデンティティ」登山
読む本と主に読む範囲:
『声と現象』林好雄訳、筑摩書房、第6章、pp.172-189
amazon: 『声と現象』林好雄訳
ルート2:フーコーの「アイデンティティ」登山
読む本と読む範囲:
『言説の領界』槙改康之訳、河出書房、pp.7-27
amazon:『言説の領界』槙改康之訳
ルート3:バトラーの「アイデンティティ」登山
読む本と読む範囲:
『ジェンダー・トラブル 新装版』竹村和子訳、青土社、 pp.250-260
amazon: 『ジェンダー・トラブル 新装版』竹村和子訳
◆スケジュール
1回目:7月1日(土) 20:00-22:00 「導入・対話」
2回目:7月15日(土) 20:00-22:00 「デリダ」
3回目:7月29日(土) 20:00-22:00 「対話」
4回目:8月12日(土) 20:00-22:00 「フーコー」
5回目:9月2日(土) 20:00-22:00 「バトラー」
6回目:9月16日(土) 20:00-22:00 「対話・総括」
◆開催方法
Zoomを使用します。スマートフォンからの参加も可能です。
◆価格
全6回: 39,800 円(税込)
※空きがある場合には1回12,100円(税込)でお受けいたしますが通期の方が優先です。
※定員は10名程度を予定しています。(最低遂行人数7名:初回開講一週間前に判断します)
※上述の通り反転形式で進めます。事前に講義ビデオを見てください。
※当日の内容は、録画ビデオで配布します。欠席の場合はそちらを確認いただくことができます。
※お支払いは、申し込み後一週間以内に振込もしくはPaypal(クレジットカード利用可)での入金をお願いしております。申し込みフォームに入力後の自動返信メールを必ずご確認ください。
◆講師
シェルパ(店主):桐田敬介
専門は芸術教育哲学。藝術・教育・哲学の場づくりを通じて公共を醸成する個人事業「よはく」の代表。
https://researchmap.jp/keisuke_kirita/
https://yohaku.work/
◆企画・サポート
初心登山人:藤原さと
もともとは本を読むより人と喋っている方が好き。大学時代、正義論を扱う公共選択のゼミで卒論がプラトンの「国家」だったが挫折。しかし教育活動をスタートして哲学に興味をもつ。
https://kotaenonai.org/member/fujiwara-sato/
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